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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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アルヘシラス~豚の太股の巻

»カテゴリ: スペイン

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豚の太腿をぶら下げたバル(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 今回の旅にはひとつだけテーマがある。目的というほど切実なものではなくて、できれば行く先々で見てやろうと決めたテーマ。国境だ。国を分かつ一本の線で、風景や行き交う人々の顔つきがどう変わるのか。物価や口にするものはどうか。素通りするだけの旅人の視点でしかないが、できるだけ多くの国境とその両側の街を見たいと思った。
 旅のルートは決めていない。場当たり的に「次はどこのしようか」と同行の和華子と話す。彼女は見所や名物といった観光情報を仕入れてきては色々と主張する反面、僕はもっぱらどこで国境をまたぐかを口うるさく言う。
 そんなわけでアルへシラスは外すことのできない街だった。ジブラルタル海峡を挟んでアフリカと対峙する港湾都市アルヘシラスは、両大陸を結ぶ大動脈の集結地である。
 そして、ここからバスで40分しか離れていない、いわば隣町にヨーロッパに残る最後の英領植民地ジブラルタルがある。スペインは長らく、ジブラルタルの返還を主張しているが、イギリスは今なおこの港湾都市に戦略的重要性を見出しているようで、手放さない。
 さらに、アフリカ側にはスペイン領の港湾都市セウタがあり、モロッコの返還要求は成就しないままとなっている。
 つまり、地中海の入り口となるこの海峡の両側で、スペイン・イギリス、スペイン・モロッコのふたつの陸路国境が存在するわけである。
 アルヘシラスに宿をとった。窓を開けると、野菜や果実を売る露店が市場を取り囲むのが見える賑やかな部屋だ。この街には、いままでスペインで見かけたおぼえがないアラビア語の看板が目につく。市場から港よりの一角は、アラビア語圏のモロッコ人ゾーンになっているようで、彼らがたむろす食堂があちこちにある。店に入ると、モロッコ人の男たちが押し黙ってアラビア語のテレビに見入っていた。独特の抑揚をつけた「アメリッカー」が聞こえ、イラクの映像が流れている。
 市場から港の背後に伸びる丘を上がっていくと、バルがあり、豚の太股が何本もぶら下っている。これは生ハムの塊なのだ。スペイン人にとっては当たり前の光景だが、イスラム教徒のモロッコ人は、立ち入る気がしなくなるのだろう。
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