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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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テクナフ~越えられない国境の巻

»カテゴリ: バングラデシュ

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テクナフとセントマーチンズ島を結ぶ木造船(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ポルトガルから陸路でユーラシアを東進して9か月。バングラデシュは23か国目だから、だいぶ国境を越えたことになる。なかには越えられない国境もあった。北キプロスの首都ニコシアでは、金網越しに南キプロスの同名の首都を見ながら、越境を拒否された。トルコ東部のアチャッカレでは、ビザがなくて地雷原の向こうのシリアを見るだけだった。パキスタン・アフガン国境にも行ったが、度胸がなく、戦乱の国へは行かなかった。いま、再び越えられない国境に来た。バングラ本土最東端の町テクナフ。ナフ河対岸の手が届くようなところに、ミャンマーがある。
 念のため、桟橋で聞いて回るが、外国人は乗船不可だと誰もが言う。できればこのまま陸路、海路で行きたかった。旅人の間では、「ミャンマーのビザを取得して、国境まで行けば通過できる」とか「バングラのチッタゴンから船便がある」とか噂が飛び交っていた。コルカタのミャンマー領事館で、陸路入国について相談してもみた。ヤブヘビだったようだ。ビザを受領しに行くと、パスポートに「陸路は許可せず」の文言をスタンプされてしまったからだ。バングラに入ってからも、ミャンマー大使館に許可を求めたり、チッタゴンの船便情報を調べたりしたが、全てが徒労に終わった。ダッカに戻り、空路でミャンマー入りするよりほかないようだ。
 テクナフは、騒がしい街道際に泥まみれの路地が走り、泥川が流れる、みすぼらしい町だった。ミャンマー産の煙草や菓子、中国製の安物雑貨を売る露店が密集する一角があり、時おり、ミャンマー人らしき人とすれ違う。ただ、それ以外は、バングラの片田舎である。
 翌朝、屋根もないちっぽけな木造船に乗りこむ。ミャンマーに行けない代わりに、沖合の小島に行こうと思う。50人ばかりの乗客は欄干に追いやられた。セメント、氷塊、食糧、それに2頭のヤギと籠に入った鳩が船体を占拠したからだ。ミャンマーを横目で見ながら、ナフ河を進み、大洋に出るや小雨になった。やがて飛沫が襲い、本降りになった雨に打たれる。顎が言うことを利かずに震えだす。灼熱の国にいて、凍死しそうだ。波の合間に似たような木造船が見え隠れする。旗を振る乗員。救助を求めているのか。頼むから、助けになんて行かないでくれ。胃液を飲み込みながら、本気でそう祈った。
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