Tanimichi World Blog

世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

スポンサーサイト

»カテゴリ: スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バラナシ~聖なる河の水の巻

»カテゴリ: インド

20050106025407.jpg

ホーリーの朝のガンガー(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 結局、ホーリーの当日にバラナシでなにが起きたのか、知ることはなかった。前夜から昼過ぎまで、宿に軟禁されていたからだ。施錠された門の内側で、外国人ばかりの宿泊客同士で平穏に色水を浴びせ合い、漏れ聞こえる外の喧騒は伺い知れなかった。
 ホーリーの翌日に和華子が熱を出し、腹を下した。同じ宿の宿泊客も次々と倒れていく。バラナシでは誰もが病気になる、と聞いたとおりだ。ガンガー河の水で作った料理やチャイを口にするからだと旅人は言う。
 ヒンズー教の聖河、ガンガー。上流と下流を見渡して、いつも煙が上がっているところが火葬場である。小船からその河畔に降り立って、煙の方へと、人をかき分け、近づく。老婆が薪の上に寝ている。白のサリー姿。先端が燃えた藁を蒔にくべる。サリーが腰から着火し、老婆はひとつの炎になった。川風に乗った煙が目にしみる。上半身辺りの炎から煙が吹き出した。細長い煙が、老婆だった炎の上空に屹立しては、風に流されていった。人はこんな光景を見て、魂の存在を知るのだろうか。僕はそう思った。
 河畔で焼かれたヒンズー教徒の遺灰は、そのままガンガーに流される。蒔代が足りないと、生焼けのまま流されるとはよく聞く話だ。それでも、ヒンズー教徒は、ガンガーに浸かる。ガンガーで取れた魚も食す。対岸には、チャイを売る露店がぽつりとあり、水道を引いているようには見えないから、やはりガンガー水で作るのだろう。聖なる河なのだ。
 しかし、先進世界育ちのやわな胃壁には、この水は相性が悪いとみえて、みな病気になる。どんなにインドの精神世界を絶賛している者も体は正直だ。毎朝、1階の食堂で顔を会わせては、誰それが一晩中嘔吐していただの、下痢していただの。3、4日経つと、僕も傍観者から患者に成り下がった。卵の味のするゲップが止まらない。胃の中で硫黄でも発生しているのだろうか。
 ここでトルコから幾度も出くわして来た旅人たちとお別れである。イェルカは南インドへ、インシックとクックワはネパールへ、ベルギーから自転車で走って来たクリストフとアマンディもネパールへ向かう。僕らは東に抜ける。このまま北インドの乾燥した大地を通り抜け、バングラデシュへ行くのだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ktanimichi.blog3.fc2.com/tb.php/65-3becad92
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。