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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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デリー~「ディス・イズ・インディア!」の巻

»カテゴリ: インド

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オールド・デリーの光景(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


「インドへ行った旅人には2種類しかない」と聞いたことがある。インドに魅了され、何度も再訪する者と、インドを憎悪し、二度と行かないと誓う者。僕は明らかに後者で、インドの素晴らしさを吹聴する旅人に会うたびに、どこかやましい気がしていた。そのインドに14年ぶりに帰ってきた。デリーに降り立って、実感した。
 車を降ろされた早朝の町は、ゴミだらけの路地だった。足元には人糞がある。ワラが散乱し、ダンボール片が投げ捨てられ、野菜の切れ端、水たまり、うろつく痩せ犬、道端で眠る牛とインド人があった。この町はなにもかもがこの調子である。道端の公衆便所はすごい臭気を放ち、人ごみのなか牛が放尿し、道端の男が揚げ物をしながら、大声で売り文句を吐き、甲高い女の歌声が響く。頭がおかしくなりそうな町である。
 ある日、ニューデリー駅で入場券を買おうとした。暴動現場のようなすさまじいところだった。誰もが競って鉄格子越しに腕をねじ込もうと、ひしめきあっている。なぜ整列できないんだ。3ルピー渡して、切符を受け取れば、一瞬で終わる作業のはずなのに、これでは切符なんて買えやしない。
「お前ら整列しろ」無性に怒りがこみ上げてきて、腹の底から大声を上げた。「整列すれば、みんな5分で切符が買えるぞ、さあ整列するんだ」
 インド人が一斉に僕に目線を向ける。そのとき、隣の窓口に並んだ腹の出た男が言った。
「エクスキューズミー、あなたは何をしているのかね。彼らは整列なんてしやしないよ」
「なんでそんなことがわかるんだ」
 男は笑いながら言う。「ディス・イズ・インディア、彼らは絶対に並びませんよ」
 ふざけるな。無言の群衆にまた叫んだ。「お前ら、聞いたか。ディス・イズ・インディア!整列しろ」
 うごめく男たちの肩をつかんで促すと、すぐに行列ができた。満足した僕は行列の先頭から2番目の男に6ルピーを渡し、切符を2枚買うよう命令した。ディス・イズ・インディア、あざとくないと生き残れない。腹の出た男が僕にニヤけた面を左右に振ったのが見えた。
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