Tanimichi World Blog

世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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ペシャワール~文明社会の果てでの巻

»カテゴリ: パキスタン

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アフガン・マーケットの両替商(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 パキスタンには、外国人が入境できない地域がいくつかある。そのひとつ、アフガン国境に接するトライバル・エリアは、部族の自治に任され、パキスタンの法は適用されない。銃火器や麻薬がはびこる無政府地帯である。
 朝7時、降り立ったペシャワールは、肌寒い砂の世界だった。砂色の布をまとい、口髭が濃い男たちが荷物をしょったばかりの僕らを取り囲む。バスターミナルから町まで運ぶ、乗り合い軽トラックの運転手たち。口にくわえた煙草からは大麻の臭いが漂う。ペシャワールの町自体は、トライバル・エリアにはない。だが、ほんの数キロ郊外からトライバル・エリアに入り、その先50キロにはアフガン国境がある。ここは、文明社会の果てにある。
 ババジイを探しに街に出る。トライバル・エリアをガイドしてくれる老人、と旅人から口伝えに聞いていた。聞いていた通りにモスク横の茶屋にいた。綿菓子を顎にひっつけたような白髭。しかめっ面の老人から早口の英語が飛び出す。あっけなく明日決行となる。
 街を行き交うオンボロバスに飛び乗って、ペシャワールを出た。途中、アフガン難民キャンプで降りる。泥だらけの路地が這う露店市場。血なま臭い羊の残骸を並べた露店、アフガン紙幣を扱う両替商に混じり、乾燥したケシや麻の実を売る店もある。軒先に置いた麻袋にぎっしり詰まる。乾燥ケシは、「煮出して、ぐずる赤ん坊に飲ませると、すぐ眠る」とババジイ。鋭い切れ込みが入っているのは、アヘンを抽出した後なのだろう。
 またバスに乗って、終点で降りると、州境だった。検問もないし、地味な標識がなければ気づかない。トライバル・エリアに入った。道の右側は市場が広がっている。長居は無用、まごつくなよ、とババジイにせかされて市場を進む。アヘン商に連れて行かれた。六畳ほどの店内で、店主がガラス棚からこげ茶の石の塊を出して、僕に持たせた。アヘンだという。新聞紙大の大麻樹脂もあったし、偽ドル紙幣やAK47小銃もあった。勧められたが、もちろん買わなかった。ババジイ・ツアーのハイライトみたいだ。
 銃工場に行った。和華子が経営者一家の女家族に誘われて団欒している間、芝生の庭に出て、日に当たる。庭の縁にホウレンソウみたいな野菜が植わっていた。千切ると白い液が出た。野菜じゃなくてケシの葉だった。なにもがあけっぴろげで、感覚が麻痺する世界だった。
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