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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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セビージャ~摂氏46度の巻

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フラメンコの踊り手(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ヴィラレアルの町を出発したバスは、国境の河を渡り、スペインに入った。なだらかな丘陵地帯をひたすら駆け抜けていく。果樹園やトウモロコシ畑が続き、丘を越えると、また農地が開ける。人ひとり見かけず、雲ひとつない。
 やがて、丘の向こうに真新しい郊外が出現して、カルフールやBMWやマクドナルドの巨大な電飾が林立する。クリーム色の外壁にオレンジ色の瓦を載せたレゴのおもちゃのような住宅が斜面を這い上がる。カリフォルニアでも第三京浜の車窓でも見かけた風景だ。世界遺産を抱える古都セビージャは、世界規格の郊外を持つ大都市だった。
 翌朝、イスラム王朝の王宮跡やスペイン最大という大聖堂を見物。精密な装飾、白昼の中庭を囲む柱列、天空をめざす尖塔。世紀を超えて建造者の強烈な意思を見せつけられながら回廊を迷う。
 ここでは、バルの店員は皿をたたきつけるように重ね、歌うように注文をとる。客は能弁で、チリ紙や吸殻を床に投げつけ、昼過ぎになると一斉に姿を消す。地中海地方では昼寝の習慣があるとは聞いていたが、この街では徹底して励行される。その頃になると気温は体温を優に超え、睡魔が確実に押しよせる。
 郊外に出かけた帰り、市内の電光掲示板に46度とあった。故障かと乗り合わせた客に聞けば、そうではないと言う。果たして翌朝の地元紙一面を「14年ぶりの熱波、46.6度を記録」と大見出しが飾った。ヘラルドトリビューン紙の天気欄には、セビージャより暑かったのはエジプトのルクソールだけだとあった。
 フラメンコの本場である。観光客ばかりが吸い込まれる歌小屋で宿代を上回る代金を払った見物。予備知識もなければ、ダンスや歌謡の教養もない。期待するほうが間違っているから、ふてぶてしく席につく。
 序盤から大男が舞台をたたきつけて跳んで舞い、上着を肩にかけての古典的なポーズで壇上を去る。身を乗り出して動きを追った。無駄口をたたく間もなく2時間が経ち、深夜零時。即席フラメンコファンになった。
 何もかもが強烈にたたきつけられる、そんな街だと思った。
* Sevillaは、一般的にはセビーリャと発音するようだが、現地の方言ではセビージャのようになる。表記にブレがあるのはこんなわけである。

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