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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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クエッタ~アフガンからの旅人たちの巻

»カテゴリ: パキスタン

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クエッタのバザールで(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ドアを開けると、見知らぬ女の子がいた。隣室のスイス人旅行者の居所を知らないかと聞いてくる。ついさっき出かけたよ、と答えたら、泣き出してしまった。
 とりあえず部屋に招き入れて、落ち着かせる。韓国人大学生のジーユン。開口一番、荷物を全部盗まれた、と泣きじゃくりながら言う。それに、怪我をしたとも。今朝、アフガンのカンダハルを出発して、国境に着く寸前だったという。ここクエッタから車で2時間ほど北上した、パキスタン・アフガン国境付近は、米軍が掃討したはずのタリバンがまだ暗躍していると聞く。ウサマ・ビンラディンが潜んでいるらしい。
「危ないことは知ってた。私、アフガンで1年間、NGOの仕事をしていて、カンダハルにも行ったことあります。今日はアフガン最後の日だから、あと少しでパキスタンだから・・・。気が緩んでいたみたい。私のせいです」
 カンダハルから乗ったタクシーの車中で、いつも身につけていたブルカを外した。全身を覆う青い女性用外出着だ。被害に遭った原因だとジーユンは自分を責める。なぐさめても、彼女の気は治まりそうにない。1年間の記録を全部失くしてしまったからだ。
 彼女に会う前、僕らは隣室のスイス人とのんきに国境見物にでも行こうかなんて話をしていた。ここクエッタのバザールで会ったアフガン人たちから、たびたび話には聞いていた。しかし、それほどの危険があるとは実感できないでいた。
 翌々日、そろそろ移動しようかと、鉄道の切符を買いに行った駅で、偶然エリさん、ヒデさん夫妻に出くわす。1月の半ばにイランのシラーズで別れてから半月ぶりの再会である。アフガンを通って来たはずだ。大丈夫みたいでよかった、と声をかける。
「それがヤバかったんだって。カンダハル怖かったー。道沿いなんか、米軍がズラーって腹ばいになって、引き金に指かけてるし。シャレになってない」
 エリさんが吐き出すようにまくしたてると、いつもは飄々として、あまり口数の多くないヒデさんも、「あれは危なかったよなあ」とエピソード交えて話した。
 改めて思う。国境は不思議なものだ。命を脅かされる思いも国境線まで、一歩越えれば武勇伝。しかし、パキスタンはどこまで安全なのか。ふと、心配になってきた。

* エリさん、ヒデさんのホームページ「タビフーフ」
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