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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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バンダルアッバス~少年が宙を舞うの巻

»カテゴリ: イラン

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アフガン人の物売り少女(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


「ザヘダーンは危ないところです。気をつけて下さい」
 西日が差し込むバスターミナルで、僕らを見送るメフディが言った。彼はペルシャ湾岸のこの街で知り合った高校生、ザヘダーンには行ったことがないのに、何度も念を押す。そう言われても、イランからパキスタンに抜けるには、ザヘダーンを通らないわけにはいかない。その街は、戦乱が続くアフガニスタンとも至近距離にあり、難民が多いらしい。持ち歩いているガイドブックには、「アフガンと麻薬取引が多く、物騒な街」とあった。
 出発時刻まで間がある。蒸し暑いターミナルビルから外に出ると、物売りの子供に囲まれた。バナナ、香水、腕時計、護身用ナイフ。旅人相手の小さな商人たち。僕らが日本人と知ると、中学生ぐらいのボス格の少年が仲間を呼んできた。日本人みたいな顔つきの少年。栗色の頭髪がちょうど今風の日本の中学生みたいで、思わず日本語で話しかけていた。
 アフガン難民らしい。ハザラという民族で、日本人と見分けがつかない顔つきの人が多い。それでいて、頭髪は茶色だったり、金髪だったりする。ここバンダルアッバスの辺りで、ときおり見かける民族である。
 ハザラの少年と僕らの対面を面白がって子供が群がってきた。そのとき、誰かが大声を上げ、子供が四方へ散る。5、6歳にしか見えない少年が宙を舞った。棍棒を持った大男が力任せに蹴ったのだ。警官だ。水たまりに少年の落とした安っぽいおもちゃが落ちている。警官は、しばらく子供たちを追いかけ回してから、持ち場に帰っていった。
 驚く僕らに、周りにいた大人が「汚いアフガニーから君たちを守るために警官が追い払った」と説明する。そんなひどい話があるもんか。メフディが怒る僕を制するように口にした。僕はもっとひどい警官を知っています。ここでは、ふつうのことなんです。
 バスに乗る時間が来た。メフディとアシュガルが窓の外で手を振っている。高校生とはとても思えない老け顔のふたりだったが、別れ際の表情がアフガンの子供とどこか重なった。どうすれば、あなたたちのように世界旅行ができるのか、と真剣に聞いた彼ら。短い付き合いだったが、何度も心通じ合うものを感じた。ただ、そんな彼らがザヘダーンを怖がるのは、アフガン人に対する侮蔑感情があるからなのか。彼らの瞳を見る僕の思考は揺れる。
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