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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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ブシェール~核疑惑の町の巻

»カテゴリ: イラン

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ブシェールの市場の男たち(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 酒が飲めず、食事に喜びがなく、トランプも違法のイラン。旅人にできることは、夜な夜な暖の取れる安宿の一角で騒ぐぐらいだ。翌朝になると、何人かがどこかへ出て行く。それが東へ東へと移動するうちに、また別の街で出くわす。不思議と長年の友人みたいになる。その連鎖が切れたのがペルシャ湾岸のブシェールだった。
 これと言って観光名所がない港町。バスターミナルからタクシーだと思って乗り込んだら、会社帰りの人の自家用車だった。善人か悪人か。もう考えるのも面倒だ。やっと見つかった宿は、警察の宿泊許可が必要だとのこと。運転手は嫌な顔ひとつせず、外事警察の建物前まで送ってくれた。「イランの警察はベリーバッドだ」と苦々しい表情で言い残した彼は、金を受け取らず、名乗りもせず、妙に急いで車を出してしまった。
 警察署はひんやりした石造りだった。昼下がりの中庭で、たむろする私服姿の男たちに用件を切り出すが、だれも英語が分からない。ただ一方的に、パスポートを要求される。男たちは群がって、パスポートをめくり、僕らの顔と照らし合わせたりしている。やがて、チョッキを着た初老の男が事務所から出てきて、英語で尋問が始まった。渡航目的から職業、宿泊先、旅のルートを脈絡なく聞かれる。答えるたびに、男たちがワーワーとわめき、にらむ。イラン男がにらむとすごみがある。一人偉そうな制服男が制し、次の質問。この次はどこへ行く。カンガン。なぜだ。友だちに勧められた。そいつは誰だ。旅人のピーター・・・。
 小一時間小突き回されたが、許可書はもらえた。和華子が泣きそうな顔をすると、制服姿の上官が微笑んで、なぐさめてくれた。警察も暇つぶしに、旅人をからかっていたのだろう。ただ、外国人に宿泊許可を課すブシェール独特の制度は、この街の外れに建設中の原子力発電所があることと関係があるかもしれない。アメリカはイランの真意は核兵器開発にあると考えているらしい。トルコで買った英文雑誌には、「イランが核査察に合意しなければ、イスラエルかアメリカがブシェール原発を空爆する可能性がある」とあった。
 街の広場から旧市街を抜けたところに日暮れ前の海があった。地中海以外の海を見るのはノルマンディの浜を以来だ。あれから、もう4ヶ月になるのか。旅をし始めてちょうど半年が過ぎて、ペルシャ湾まで来た。だんだんと先行きが読めなくなっていく。
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