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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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ソフィア~憎めないヒッチハイク男の巻

»カテゴリ: ブルガリア

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ヒッチハイク男(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ヨーロッパの旅も終わりに近づいている。セルビアからブルガリアへ南下し、ルーマニアへと移動した。この辺りまで来ると、歩道の敷石は外れ、市電やバスは常に満杯で、街を歩けば物乞いに取り囲まれる。機能するはずのものが機能せず、足りず、存在しない。
 ただ、旅をするのが不便になればなるほど、反比例して旅人との出会いが増える。インドからオートバイで走って来た元営業マン、父親の故郷を訪ねにイランへ向かう19歳のドイツ娘、二言目には「イエッサー」の元米海兵隊員、朝からビールをチェイサー代わりにウォッカをあおるイギリス男、徴兵中の苦労話が面白かった小説家志望の韓国人大学生。
 そんな中で話がめっぽう面白いフランス人がいた。シンガポールからヒッチハイクだけで移動し、故郷に向かっているという。中国で「北京」と書いた紙切れを手に、道端に立っていたときのこと。しつこく誘惑する娼婦を追い払おうと嘘をついた。
「泥棒、私、お金、ゼロ。今、行く、北京、フランス大使館」
 会話張を指差して、苦境を伝えると、娼婦は携帯電話を取り出して、どこかへ電話。間もなくパトカーが現れた。どうやらこの娼婦、嘘話を真に受けて、通報したようだ。今さら嘘でした、とも言えないまま事情聴取される。警察は彼をなぜかバスターミナルに連れて行った。バスにタダ乗りできる話がついていた。「警察、哀れな西洋人を助ける」と警察は美談、お手柄話にしたいらしく、新聞記者まで集めていたのだ。かくしてまんまと長距離バスをヒッチハイクするという類まれな経験をしてしまったそうだ。
 この手の本当か嘘かよく分からないエピソードが次から次へと出てくる。一体どんな仕事をしている男なんだ。彼が取り出したのは報道記者証。よく見るとpassportのスペリングが間違っている贋物。自作したという。しかも、ニセ記者証を使って、とある有名F1レーサーを取材し、雑誌掲載に持ち込んだとも言う。聞けば聞くほど正体不明な男だ。
「オレさ、学歴もないし、美男子でもないし、楽器もできない。だからヒッチハイクしてるのさ。人生は一回。人と違うことしないと面白くないじゃない」
 法螺くさい話ばかりのずっこけ男のこの話だけは妙に正直な感じがして、いい奴だなあ、と何杯目かのビールジョッキを重ねた。
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