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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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バイユー~ノルマンディーの浜と墓の巻

»カテゴリ: フランス

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22歳のカナダ兵の墓(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 フランスでひとつだけ見てみたかったところがある。ノルマンディーの浜だ。
 ほとんどあてがなく降り立ったバイユー駅。不安になる間もなく、駅前ホテルの壁に「Dデーツアー」と大書きされている。地図を見ると、ここバイユーは、英仏海峡に突き出すノルマンディー半島の北東岸から10キロほど内陸に入った町だとある。パリから急行列車でわずか2時間ほどの道のりである。
 町の規模に似つかわしくない見事な大聖堂がある。それとDデー博物館があると知って、行ってみた。Dデーは、米英連合軍が1944年、ナチスドイツから欧州大陸奪還を果たすべく、ノルマンディーの浜に上陸したその日を言う。
 翌朝早く、ホテルにワゴン車がやってきて、Dデーツアーに出かけた。おしゃべりなフランス人男性が運転する車は、町で出ると、畑の真ん中の一本道をけっこうな速さで進む。遠くに木立があるほかは朝靄が畑の緑を覆うだけ。のどかそのものの道だが、ガイドが時おり「この角でドイツ兵が4人死にました」「この集落は全滅しました」などと説明する。
 浜に着いた。空は灰色の濃淡が重なり、海は思ったよりも穏やかだ。1944年の5月、この浜にカナダ兵が上陸したときは、浜辺は障害物だらけだったとガイドは言いながら、写真集を開いて見せた。
「どこかで見たことがありますね? そう、『プライベート・ライアン』。ハリウッッドもときには正確ですね。ドイツ軍は実に頑強な障壁を設けて、連合軍を迎えたのです」
 映画で描かれた米軍やイギリス軍の活躍ぶりに比べて、カナダ軍の存在は忘れられがち。しかし、死亡率が最も高く、任務を全うしたのはカナダ軍だとガイドは力説する。
 カナダ軍の墓地に寄った。手入れされた芝生の中、白い墓標。ひとつの墓の前に花が置いてあった。しゃがんで、花とともに残されたカードの手書きを読む。末尾に「君のブラザー」とあった。僕が以前住んでいたカナダの街からそれほど遠くない田舎町から兵士の「ブラザー」は花を置きにやってきていた。カードが雨にも濡れていないところからすると、「ブラザー」の来訪はつい昨日のことのように思えた。僕には「ブラザー」は、死んだ兵士の年老いた兄としか思えなかった。その兵士は59年前に22歳で死んだとあった。

* 映画『プライベート・ライアン』(Amazon.co.jp)
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