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2週間ほど前、札幌に住むことになったカナダ人と飲んでいて、こんな話を聞いた。北海道の倶知安にオーストラリア人のスキー客が急増していると地元テレビで見たという。オーストラリア人がペンションを建設したり、スキー場を買収するなど投資が本格化しているらしい。
そんな会話があったこともすっかり忘れた昨日になって、オーストラリアに住む友人からメールが来た。「日本の銀行はオーストラリア居住者(の非日本人)に金を貸してくれるかどうか調べて」。住宅ローンを検討しているらしい。「そういうことが可能だと人に聞いた」と書いてあった。日本の銀行金利が国際的にみて安いため、そんなことを思いつくのだろうか。どこか浮ついた話だ。
倶知安の話を思い出して、ネットで調べてみた。出るは出るは、地方紙、全国紙、テレビも「倶知安にオージー急増」と何度も報じていた。まとめてみると次のような感じだ。
【全般動向】
・倶知安町へのオーストラリア人観光客の延べ宿泊者数(人数掛ける宿泊日数)は、03年度2万3500人、04年度は6万人の見通し。03年度は01年度の10倍以上との報道もある。
・国外にスキー旅行するオーストラリア人は年間4〜5万人(駐札幌オーストラリア領事館)。
・03年11月、カンタス航空の子会社オーストラリアン航空が新千歳便を開始。
・人気の理由は、地理的条件(時差がほとんどない、ヨーロッパやカナダよりも近い)、雪質の良さ、投資条件の良さ(豪州経済の好景気、日豪租税協定等の法整備)、割安感(不動産価格はカナダやヨーロッパの3分の1との話も、円安豪ドル高の傾向)、日本文化へのあこがれ、口コミの広まり(倶知安町は何も誘致活動をしていない)など。
・札幌にあるオーストラリア領事館には「オーストラリア人は朝食になにを食べるのか、どんなことを喜ぶのかと問い合わせが殺到」(在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所ウェブサイト)。
【豪資本投資】
・04年夏、オーストラリア人経営のの日本ハーモニーリゾート社(本社・東京都千代田区、ロジャー・ドナサン社長)が東急不動産からニセコひらふ花園スキー場を買収。東急が160億円を投じて開発したスキー場を2億4000万円で購入。ドナサン社長の妻はカンタス航空のマーガレット・ジャクソン会長。カナダ・ウィスラー級の国際リゾートを目指し、240億円の投資を行うという。06年にも建設が始まる。
・オーストラリア人不動産業者サイモン・ロビンソン社長が「1戸1500〜2000万円のコンドミニアム(2LDK)18戸を発売したところ、たちまち売り切れた」(3月12日付毎日新聞)。
・倶知安町に住むオーストラリア人弁護士、マット・デニング氏の「投資額は約550万豪ドル(約4億5千万円)。周辺には、別の豪州系会社が建設中の建物が3、4軒ある。地価は過去2年で3倍近くに跳ね上がったという」。(04年11月16日付読売新聞)
・「同町の司法書士吉田聡さん(37)は一昨年暮れ、豪州の知人らと不動産販売会社「ニセコ・リアル・エステート」を設立。英語で投資相談に応じている。「山田地区だけで20件以上の成約があった」」。(同上)
・倶知安町には夏のラフティングツアー会社経営に成功したオーストラリア人が住んでいることも投資家に好感。94年にニセコアドベンチャーセンター社を設立したロス・フィンドレー氏。国土交通省は同氏を「通年型アウトドア体験観光のカリスマ」と認定している。同氏が、夏の観光が不振だったニセコでラフティングを手がけるなど国内外から観光客が集まる通年観光の地に変貌させたことなどを選定理由としている。
報道を総合してみると、10年ほど前に倶知安町で観光業に乗り出したオーストラリア人の話が報道されたり口コミが広がるなどして、03年頃からオーストラリア人観光客が急増。豪資本による本格投資も活発になり、一過性ブームとは片付けられない勢いがあるといえそうだ。
いままで日本で観光業界では、もっぱら日本人の国内外への旅行にターゲットが絞られてきた。業界では、「これからはインバウンド」と外国人の訪日観光を増やす方策について掛け声はあっても、絶対数が少なすぎたのが実態。小泉政権になって、政府主導をキャンペーンが始まり、ようやく来訪外客数が韓国を抜いたと喜んでいる状態だった。最近は、韓国人の温泉やゴルフ観光や台湾での北海道ブームなどが注目されてきたが、オーストラリア市場はノーマークに近かったのではないか。
オーストラリアでは、90年代から香港人などのアジア移民が不動産が買いあさり、地価高騰を招いていた。この間に不動産を売却したオーストラリア人には、かなりの売却益を得た者も少なくないのだろう。また、中国への農産物や天然資源の輸出も活発化し、経済全体が拡大基調にあり、豪ドル高傾向が続く。これら要因が海外投資につながっているようだ。
ひしひしとグローバリゼーションが日本の地方にも及んでいることを感じさせる動きである。そうだ、オーストラリアの友だちへの返事はどうしよう。日本の銀行が非居住者の外国人に金を貸すとは到底思えないが、調べてみてやるとするか。今晩はこの辺で。
【参考】
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「ニセコ:豪州からのスキー客や投資が急増 北海道」3月12日付毎日新聞・
「Australian investors follow slope fans to Hokkaido」2月22日付インターナショナルヘラルドトリビューン朝日・
ANZCCJ News 04年12月号(在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所ウェブサイト)・
「ニセコ豪投資ブーム<上>」04年11月16日付読売新聞・
「アジアのウィスラー目指せ/豪スキー客がニセコに殺到」04年10月12日東奥新聞・
観光カリスマ、ロス・フィンドレー(国土交通省ウェブサイト)・
北海道トラックス社ウェブサイト