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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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シェフシャウエン~幻想的な夜の巻

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シェフシャウエンの夜道(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 テトゥアンのバスターミナルは、ラッシュ時の新宿駅のような喧騒だった。バックパックを背負ったままシェフシャウエン行きの切符売り場に並ぶが、4時間後まで空席はないという。ベンツで行くしかないか、と思い巡らしていると、初日のガイド、ムハマンドに声をかけられた。
「どうした、日本人。切符がないのか。ちょっと待っていろ」
 売り場の係員と話し終えたムハマンドの手には2枚の切符があった。
「バスターミナルの人間はみんな友だちなんだ。ムハマンドにできないことは何もないぞ」
 代金を渡して、ありがたく切符をもらった。実は、旧市街を歩いた日、ムハマンドからハッシッシ(大麻樹脂)を買わないかとたびたび勧められたので、その後街で会っても避けていた。うさんくさい奴だと思っていたが、いい奴じゃないか。
 時間が来た。バスの通路には人があふれ、空席などない。すさまじく暑く、汗臭い。冷房設備はもとよりない。立席でもいいから、とっとと出発してくれと怒鳴りたくなる中、運転手が乗客の切符を確認して回っていた。すると、客がどんどん降りていく。間違えて乗ったのか、キセルか。僕らは席にありついたが、結局ふたりの乗客が立ったまま出発した。ムハマンドが無理に切符を売らせたからなのか。わからないことだらけだ。
 リフ山脈の斜面にシェフシャウエンはあった。純白に塗られた迷路の左右は、白と藍の家々。絵本から飛び出たような幻想的な町並みが広がる。一周しても1時間かからないような小さな村。1492年、スペインから追放された回教徒やユダヤ人がつくったのだという。ここは大麻の原産地とも聞いた。
 朝晩問わず、白い風景を歩き回る。山から風が吹き、心地いい。店を覗いては、出されたハッカ茶を飲み、猫を撫でる。村人は静かに話し、押しつけがましくない。
 日が暮れた迷路は、白が浮かび上がるようにぼんやり光る。開け放れたドアの中は、青に塗られた室内があった。エキゾチックなリズムが流れている。なんの店だろう。20代にみえる青年があいさつに出た。アートギャラリーにしたいんだ、開店準備中なんだ、と言い、招き入れる。不思議な夜だった。
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