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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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テトゥアン~迷路の奥の薬剤師の巻

»カテゴリ: モロッコ

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テトゥアンの薬剤師(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 セウタの宿を引き払い、二日連続で国境を越えてモロッコに入った。国境からベンツをハイヤーして、テトゥアンという街に行くつもりである。運よくバックパックを背負ったスペイン人とアメリカ人の若いカップルとベンツを貸し切ることができた。スペイン人のアルベルトは、タクシーの運転手とべらべら話している。モロッコの北部は、戦前の一時期から1950年代にかけて、スペインの保護領だった時期があり、スペイン語がだいぶ通じるという。
 テトゥアンに着くとたちまち各国語を操る自称ガイドたちに取り囲まれた。自称ガイドが僕ら4人を引き連れて迷路状に広がる旧市街、メディナを進んでいく。家具職人の工房が続く道から押入れよりも狭いような雑貨屋や軽食堂が連なる道に入った。白ペンキで塗られた路地を通り、ロバやリヤカーとすれ違いながら、角を曲がって行く。
 アルベルトがガイドとなにやら話し込んでいる。ガールフレンドのケリーは、角を曲がるたびに小さなノートに道筋を書いている。「どこに連れていかれるかまるで分からないでしょ」と不安そうだ。
 路地の奥。狭い間口の建物に連れていかれた。天井は2階まで吹き抜けていて、壁一面には色とりどりの液体が入った壜が並ぶ。ハーブやスパイスを調合して、客の症状に合った薬を売る店だという。化学製品ではなく、天然の素材を使うから体にいいのだと白い衣装を着た店主は静かに言い、体に塗ると虫除けになるという石鹸状のものだとか、寝る前に匂いを嗅ぐといびきをかかないという香袋だとかを取り出して、諭すように説明する。いわばモロッコ式漢方だ。この国ではこうした薬を使うのがふつうだという。
 一通り説明が済むと、「ぜひお買いあげください」となったので、店の外に出て、タバコに火をつけていると、「タバコは体によくないよ」と店主がぽつりと言う。天然素材にこだわる薬剤師らしいな、と思ったら、「私に一本くれないか」
「体によくないと言ったばかりじゃないか」
 薬剤師はニヤリと笑って、「まあ、そう堅いことを言うな」と言うように僕が差し出したスペインタバコをくわえた。
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