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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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武昌から鄭州へ~列車は華中への巻

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筆談をしているとたちまち人だかりが(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 武昌を出発した特快124列車は、長江をまたぐ長い鉄橋を渡ると、平らな大地を快調に飛ばし始めた。中国の列車は速い。僕らが乗った武昌-鄭州間は536キロ。これを5時間18分で走る。平均時速は101キロである。この列車は、広州から一直線に北へ向かう京広線を進み、武昌、鄭州を経て、はるか北の長春まで向かう。走行距離3313キロ、所要時間36時間23分。広い中国大陸の南から北へ走りぬける。
 僕らの向かいと隣の6人がけの席に座る一家は、南京から河南省の鶴壁という町に行くらしい。どこから来たのか、どこへ行くのか、などと聞いてくる。地図で旅の経路を説明して、相手の名前を聞いてみる。向かいの席に座った中年の男性が強い筆圧でなにやら書いている。我ハ貴方達ニ問ウ。1鶴壁市ニテ仕事シタイカ、2鶴壁市ハ発展スルト思ウカ、3我ノ名ハ劉究章。
 このおじさん、初対面の僕らに仕事を斡旋しているようだ。鶴壁市がどんなところかも分からないし、中国語ができない僕らにできる仕事などあるとも思えない。生真面目なおじさんは箇条書きで返事を書き始めた。主要産業、1煤、2発電、3電子工業・・・。市政府に勤める偉い方のようだった。真に受けて鶴壁市に行ったらどうなるのだろう。
 筆談合戦になった。一家のお母さん、その息子の大学一年生、席がなくて廊下に立っていた男性も参入してきた。息子と英語で話してくださいな、アイ・アム・イングリッシュ・不好、私の田舎はねえ、昔日本人たくさんいたんですよ、あなた満州国知ってますかい。
 そんななか、何列か後ろから初老の男がやってきた。僕に新聞を手渡し、人差し指で紙面を叩きながら、語気荒くなにか言った。指差した記事は、日本政府が国防政策を転換して、中国を敵視しているとある。一家は慌てて、その男を追い払い、記事を捨てようとした。僕は彼らを制して記事を読み、旧満州国出身の男性のノートに返事を書いた。僕の父や母方の祖父が戦前戦中に中国大陸に住んでいたことを書いた。お母さんが僕のメモを音読するのを真剣な顔になった彼らは、いちいち相槌を打って、頷いていた。
 考えてみれば、この列車が走る線路を60年前には日本兵を載せた軍用列車が走っていたのだ。日本にとって因縁のある土地に入った。
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