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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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長沙から岳陽へ~唐辛子催涙ガスの巻

»カテゴリ: 中国

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紐につながれた猫(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 湖南省に来た。食堂に面する路上。油が敷かれた中華鍋に唐辛子がぶちまかれる。通り過ぎるだけで目が痛くなり、咳き込む。まさしく催涙ガスだ。宿に帰れば、やはり刺激臭が充満していた。部屋の真横が台所になっていて、従業員が調理している。湖南の料理は辛いことで有名とは聞いていたが、実に凄まじい。ラー油の中に具材が浮いている要領で、具材がまた塩辛いことが多い。干物を多用するからだ。これを咳き込みながら食う。
 湖南の言葉もまた広東語とは全然違って聞こえる。ズダラッ、ズダラッ、と末尾だけが耳に残る。もう椰子は見かけない。短パンをやめて、長ズボンとセーターを着込む。一夜移動しただけで、真夏から秋になり、別の料理、別の言葉の土地に来た。中国は広い。
 長沙、韶山を経て岳陽に着いた。猫が路地を徘徊し、子供が市場をすり抜けて遊ぶ。湖畔の道を進めば、先に古い塔楼が見える。気づけば夕陽時。斜陽に彩られた道に紐につながれた猫がいた。中国では時おりこんな猫を見る。つながないと逃げる、と飼い主は言う。一日中、子どもにからかわれて哀れな猫だ。
 歩き疲れて食堂に入った。店頭の蒸篭を空けてもらうと、小皿に肉や野菜が入っていた。蒸菜というらしい。素朴な料理だが、これがうまかった。薄切りの蓮根がしゃきっと口の中で音を立てる。肉には大麦か何かの穀物が和えてあって香ばしい。蒸菜は岳陽の料理なのだろうか。和華子が店主に尋ねたら、そうではないという。これをきっかけに店主がおずおずと近寄ってきて、話しかけてきた。あなたたち日本人でしょう。雰囲気でわかりました。私の妹は東京に住んでいるんですよ。そう言って、頼んでない皿を運んできた。湖南の人は、過激な料理が好きなわりには、話してみると穏やかで素朴な人だと思う。妹が日本人に世話になっているから、と僕よりふたつ年下の店主は言い、どうしても代金を受け取ってくれなかった。
 岳陽の猫路地を散策し、杜さんの蒸菜をタダで食べて、何日かを過ごした。そろそろ出発しないとならない。一週間もすると、「十一黄金周」と呼ばれる連休が始まる。どうせ足止めをくらうなら、見どころが多そうな北京にしようと考えた。杜さんに見送られて、僕らは岳陽の駅から京広線の上り列車に乗った。
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