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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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セウタ~泥水まみれの越境の巻

»カテゴリ: スペイン

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セウタに戻ると、イルミネーションがまぶしい祭りが開かれていた(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 数時間いただけのモロッコからスペインに戻った。今晩の宿はスペイン領セウタに取ってある。国境から市バスで20分もあれば着く、賑やかな港町である。セウタ行きのバス停は、国境の検問所からは30メートルもないぐらいの場所にある。日が暮れかけた国境は、セウタに急ぐ人々でざわめいていた。
 人が騒いでいるのが聞こえて、ふり向くと、すぐ背後の鉄柵に人だかりができている。鉄柵の向こう側から2つ、3つ荷物を投げ込まれた。ビニールでぐるぐる巻きに包装された小包大の箱が次々に投げ込まれては、鉄柵のこちら側で拾った人がそれを持って、歩き去る。
 なにをしているのだろうと、ぼんやり眺めていたら、チェックのシャツを着た大男が鉄柵をよじ登っているのが見えた。こちら側に降りようと、長い足をまたいだところでバランスを崩し、肩から落下してしまった。水たまりに落ちた男の目は、大きく開いていた。怒りを押し殺したような顔に見えた。真剣そのものの顔だった。泥水まみれの男は、周囲の見物人に一瞥もせずに立ち上がり、車列をすり抜けると、背後の丘を駆け上がっていった。
 バス停に並ぶ中に、ついさっき国境検問所で話を交わした女の子がいた。
「なにが起きているのか分かるかい」
「モロッコ人が不法入国しているのよ」とオランダのパスポートを持ったモロッコ移民の彼女が流暢な英語で話す。「鉄柵の向こう側は海でしょ。モロッコ側から泳いできたんでしょう」
「彼らはどこに行くのかな。スペイン本土に行くつもりなのかな」
「無理よ。すぐ捕まるわ。そんなに驚くことではないのよ。これはよくあることなの」
 彼女はモロッコに里帰り中の移民二世で、今日は親戚の女の子たちとセウタの祭を観にいくという。パスポートを提示して正規に越境している。どうして君の親戚は正規に入国できて、あの男たちはできないのか、と聞きたい気もしたが、やめておいた。
 バスが来て、僕らは夏祭りで賑わうセウタへ向かった。
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