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世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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ハノイからハロン湾へ~僕の両親はボートピープルだったの巻

»カテゴリ: ベトナム

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早朝だけ安宿の前の道は朝市になる(2004年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ハノイの宿から、はす向かいに伸びる狭い通りは青空市場だった。市場で働くベトナム人はいつもなにか手を動かしていないと済まないようだ。葉野菜は長さを揃えて紐で縛る、果物は4分の1ほど皮を剥いて陳列する、臓物はきれいに洗って水に浮かべる、エビは殻を剥いて石で叩いてペーストを作る。品物はどれも生き生きしていて、美しい。
 メコンデルタから北へ2000キロ、ハノイまで来た。気候も食も南部とはだいぶ違う。南部では、雷鳴に気づいたと思えば豪雨に襲われ、汁麺に生もやしとミントの葉を豪快にぶちこんで食べた。ハノイの雨は、日本の梅雨のように寂しげである。麺の薬味は葱だけ。物足りない気がする。
 バンコクからエノモト先輩がやってきて、また高級料理を奢ってもらったりして、数日が経った。これから中国へ抜けようと思う。名勝ハロン湾に行くツアーに参加し、現地でツアーを離脱して、国境へ向かうことにした。ハロン湾から海沿いに東へ150キロほど進んだモンカイに陸路国境がある。ツアーに含まれる食費や宿泊費を考えると、自力でハロン湾へ行くよりもはるかに安いのだ。ベトナムの現地ツアーの安さにはいつも驚かされる。
 海に岩山が点在するハロン湾を観光船で巡る。ツアー参加者の中に、ヴィエトキウ(越僑)一家がいた。ベトナム戦争の終結前後、大量に国外脱出した人々だ。いまはカリフォルニアに住む母と息子とハノイで働く娘。昼下がりのハロン湾をゆっくりと進む観光船で、彼らはそんな風に自己紹介した。僕らがベトナムの旅の印象を話して、彼らが感想を言ったりした。陽気でいかにもカリフォルニアの若者っぽいジョーが僕を観光船の屋上に誘った。海は岩山に茂る木々が反射するのか緑色だった。
「今回の旅でブンタウに行ったんだ」。屋上に座り込んで、ジョーが語り始めた。サイゴンに近い海辺のリゾート地である。「僕の両親は、ベトナムを離れる直前にしばらくブンタウにいたらしいんだ。母が20数年ぶりに行ってみたいと言い出してね。親戚筋が浜辺で地所を持っていて、そこで脱出するタイミングを計っていたらしんだ」
 脱出って、まさか船で出国したのか。
「そう、僕の両親はボートピープルだったんだ」
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