Tanimichi World Blog

世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

スポンサーサイト

»カテゴリ: スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゲルリッツ~対岸の煤けた町の巻

»カテゴリ: ドイツ

20050104212726.jpg

ゲルリッツから見た対岸(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 ナイセ川は、ドイツらしく整然としたゲルリッツの旧市街の外れにあった。川幅は50メートルもないだろう。対岸に石造りの家々が見える。窓越しに住人の姿が見えるくらい間近にせまる対岸は、ズゴルゼリックというポーランドの町である。第二次大戦後、ドイツは国土の東部を失い、オーデル川とナイセ川が新たな東部国境になった。ナイセ川に面する国境町ゲルリッツは、人口6万、ドイツ南東端に位置する。
 旧市街から数百メートル離れたところに国境橋があった。歩行者用入口から橋に近づくと、粗末なコンテナ小屋があって、ここでドイツ出国となる。真横のコンテナにはポーランドの係員がいて、「コニチワ」とひょうきんに声をかけてきた。僕らはパスポートを見せ、スタンプを押してもらうが、他の徒歩越境者は身分証明書のようなカードを見せるだけだ。緊張感のかけらもない国境風景。半年後にせまったポーランドのEU加盟後は、国境自体が消滅する予定である。
 夕暮れがすぎた時間帯、対岸のズゴルゼリックは暗闇の町だった。人気のないゲルリッツとは対照的に、若者が連れ立って、舗装の悪い坂道を行き来する。炭の臭いにも似た、煤けた臭いがする。石炭で暖房をまかなっているのかもしれない。ゲルリッツと建物の造りはさほど変わらない。にもかかわらず、別世界に来た気分になる。
 バー・カリフォルニアと看板があって、恐る恐る地階のドアを開いた。バーカウンターには客はいなくて、テーブル席はあらかた埋まっている。案外まともなレストランみたいだ。渡されたメニューは、ドイツ語とポーランド語。さっぱり分からないので、適当に指差して注文したら、ラザニアのような料理が出てきた。味は悪くないが、どこがカリフォルニアなのだろう。
 帰りに雑貨屋でミネラルウォーター、インスタントスープと煙草を買う。対岸ドイツの4分の1以下である。ゲルリッツに商店があまり見当たらないのも無理はない。こんなに物価に差があっては、勝負にならないに違いない。
 また国境橋を渡り、楓の落ち葉が舞う、静まり返った町を歩いて20分、宿に戻り、ポーランド煙草に火をつけた。
スポンサーサイト

ベルリン~それぞれの祖国統一の巻

»カテゴリ: ドイツ

20050104212717.jpg

韓国人の落書き(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 いまベルリンには壁はほとんど残っていない。わずかに都心の旧ナチス党本部前、住宅地のごく普通の街路片側に壁が築かれたベルナウアー通りともう一ヶ所、シュプリー川に面した壁ぐらいだ。いまこの壁は、一種の屋外美術館になっている。壁に描かれたスプレー画が2キロにわたり続いている。平和を象徴する鳩、東ドイツから逃走する兵士、抽象画が脈絡なく続く。
 管理人もいない屋外展示とあって、スプレー画の上には油性ペンの落書きが目立つ。ふとハングルの落書きが多いことに気づいた。韓国人観光客はマナーが悪いな、と思いつつ進むと、ハングルの数行の中に「One Korea」の英文字が目についた。そうか、韓国も分断国家か。韓国人にとっては、この屋外美術館は単なる名所見物とは違うのだとやっと気づいた。ここで改めて自国の状況を振り返り、統一を訴えたくなるのだろう。
 そのまま進むと、今度は中国語の落書きが目立つ一角があった。中国人らしい達筆は、どれも「統一」とあった。彼らからすると、台湾の現状は祖国分断になるわけで、なるほどそれで統一祈願なのか。なんとなくピンと来ないが、中国人から見れば、そうなるのか。
 長居したベルリンを後にして、旧東ドイツ南部の主要都市ドレスデンへ南下。ユースホステルのドミトリーに泊まる。暖房が効いた5人部屋でドイツ南西部のシュツッガルトから来たドイツ人と同室になった。ドレスデンに来たのは初めてだという彼らは、「税金の使われ方を調査にしに来た」とにやけた顔で言う。もちろん税務署員ではなくて、旧東ドイツ再建のために、多額の税金が投じられたことの皮肉らしい。
「それで、君らの税金は有効活用されていると言えそうかい」
「いや、もっと増税しないとヤバいね。この街の道はガタガタだからね」
 二人組の片方は、ハノーバーで育った少年時代、旧東ドイツから女の子が転校してきたのを覚えていた。
「パン屋で売っているパンの種類が多いと驚いていたよ。
 彼らの口ぶりにどこか棘を感じて、北朝鮮から亡命してきた少女は、ソウルの街で真っ先に何を買うのかとふと夢想した。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。