Tanimichi World Blog

世界32か国、16か月の旅。

ユーラシア横断陸路の旅 まえがき

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ベルギー

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BELGIUM, Sept 2003
* Bruxelles
* Antwerpen#
* Baarle Hartog
# 写真撮影地。Photograph by Wakako Takatsuki

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Map courtesy of the U.S. Central Intelligence Agency.

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バーレ~自由気ままな国境線の巻

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白い十字架印の手前がベルギー(B)、先がオランダ(NL)(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 アントウェルペンから通勤電車を乗り継いで1時間ほど東に向かい、終点の田舎町で降りる。駅前広場でバーレー・ハートグ行きのバスがあっけなく見つかった。
 数日前、ブリュッセルでベルギー政府観光局に立ち寄り、バーレー・ハートグの行き方を聞いてみた。「バーレー・ハートグ? どこにあるんだ?」
 地図で指し示すと、「なんだ、そこはオランダだよ。オランダ観光局へ行きなさい」と追い返されてしまった。観光局が誤解するのも無理もない。実はこの町は、オランダ領内にある小さなベルギーの飛び地なのである。
 町を抜け出たバスは、草地と森林に挟まれた一本道をまっすぐ向かう。地図によれば、バーレー・ハートグは、この田舎町から北へ20キロあまり進んだところにある。地図を手元に車窓を見ていると、ベルギー・オランダ両国の旗が立った小屋が見えて、どうやらここが国境なのかなと分かる。オランダ領内に入っても風景は変わらず、停留所もあるが、誰も降りず、誰も乗ってこない。
 バスを降りたところは、洒落たカフェの前だった。歩道にせり出した客席には、上品な老夫婦がコーヒーを飲んでいる。ここから数歩歩くと、地面に見慣れない印が描かれているのが見えた。白い十字架が一列に並び、手前にNL、十字架の先にBと文字が書いてある。国境線らしい。NLはオランダで、Bはベルギーなのだろう。だとすると、バス停はベルギー領バーレー・ハートグではなく、オランダ領にあることになる。オランダ領はバーレー・ナッソーという町だと分かった。
 十字架の国境線をジグザグ状にたどって行くと、小さな洋品店の軒先に行き着いた。歩道側にはベルギー、店内はオランダになっている。ここでは、歩道に描かれた控えめな十字架印と車道に規則的に打たれた銀色の鋲が自由きままに道を横切る。玄関のドアを境に国境が横切る民家があった。几帳面に両国の番地を示す標識が貼ってある。
 国境を隔ててふたつの町があるのではなく、もともと存在したひとつの町がなんらかの歴史的経緯で別の国に分断されてしまったようである。この町の住民には一体どんな不都合や恩恵があるのだろう

アントワープ~ベルギーの言語事情の巻

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アントウェルペンの駅(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 地方によってフランス語圏とオランダ語圏に分かれるベルギーにあって、首都ブリュッセルだけは両言語地域である。ここでは駅名や道の名前も徹底して両言語併記になっている。パリからの列車が到着する駅は、オランダ語では南駅を意味するZuid Stationだから、フランス語ではGare du sudかと思えば、どういうわけかGare du midiになる。機械的に対応しているわけでもなく、ややこしい。
 ブリュッセル北駅から快速列車に乗って50分ばかり北へ向かう。到着したアントウェルペンでは、もうフランス語は見かけない。標識は全部オランダ語。フランス語は断固拒否するぞ、と意気込んでいるみたいに全然みかけない。オランダ語は英語にもっとも似ている言語とは言うが、聞いても読んでもほとんど解読不能だ。
 アントウェルペンの駅で妙な光景を見かけた。趣味のいい黒いコートを着たキャリアウーマン風黒人女性がやはり黒人の小太りなおばさんに話しかけていた。
「フランス語できますか」
 僕にもわかるフランス語だ。小太りのおばさんは、困った顔をして、ノン。ところが、キャリアウーマンは全く意に介さない。ゆっくりめのフランス語で、町中に行くトラム(路面電車)は何番ですか、と聞いている。第二外国語レベルの僕にもわかるぐらい分かりやすく言っている。
 小太りおばさんが「トラム、セントラール」と言って、親指だけを折った右手を見せた。
「4番? 4番のトラムでいいのね」
「ノン、ノン」と言いながら、小太りおばさんは、今度は両手の親指を折って、振って見せた。8番の意味らしい。キャリアウーマンがきれいなフランス語で8を意味するhuitと言い、おばさんがあいかわらず困った顔で、激しくうなずいた。短い会話は終わり、ふたりは別の方角に歩いて行った。
 ふたりともベルギー人なのか、どちらかが外国人なのかどうかはわからない。ただ、仮にもフランス語が公用語のひとつになっている国の大都市で、フランス語で話しかけると、数字もわからない人がいるのだ。この国も大変だ。

ブリュッセル~旅の第一印象の巻

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フランス語とオランダ語で表記された標識(2003年)
Photograph by Wakako Takatsuki


 今まで国境を越えるたびに、国境の町に宿を取って、行ったり来たりしてきた。フランスからベルギーへ入るにあたっても、国境の町を考えなくはなかったが、結局、飛ばしてしまった。ベルギーはフランス語を使う国だし、首都のブリュッセルはパリから特急で1時間20分しかかからない近さだ。たいした違いはなかろう。
 甘かった。黒ずんだ石造りの建物、地下を走る路面電車、コーラより安いビール。安宿を探しに街に出て目にしたものは、以前に1泊だけしたドイツに似たところばかりだ。
 ブリュッセルの宿はユースホステルになった。それでもベッドがふたつあるシャワー、トイレ共同の部屋は「シーツ代」込みで40ユーロ(約5400円)もする。フランスではなぜかどの街でも35ユーロ、スペインでもだいたい30ユーロ前後だったから、高く感じる。おまけに1泊しか泊めてくれないという。明日の宿探しをしないとならない。
 いままでの経験上、ある程度の規模の街だと、どこでも安宿はあったし、駅前だとか観光名所の周りに固まっていることが多かった。ガイドブックに頼らなくても、観光案内所で安宿リストをもらって、歩き回ればどこかに泊まれた。
 街に降り立って、目星をつけた宿で値段を聞いて、部屋を見せてもらう。すんなり決まることもあれば、値段が気に入らなかったり(よくある)、部屋が気に入らなかったり(めったにない)して、重い荷物を背負って歩き回ることもある。人の出会いは第一印象が大切だと言うが、貧乏旅行の場合もそうだと思う。
 この街の安宿リストはわずか5軒。仮にも一国の首都。もっとあるだろう、と文句を垂れながら、安宿を求めて街を歩く。南駅にも中央駅にも安宿街は見当たらないし、観光名所のあたりにある宿は高い。結局、日が暮れるまでさまよって、どこも明日の晩は満室だ。
 その晩、出会った日本人の大学院生と建築家と夕食を共にすることなった。ブリュッセル名物の小便小僧の噴水に通りかかって、建築家の小池さんが笑いながら言う。
「世界3大ガッカリ名所って言うそうですよ」
 たしかに何が面白いのかさっぱりわからない。ブリュッセルとは相性がよくない。明日の朝、延泊させてもらえなければ、移動しよう。次の街はきっといいことがあるはずだ。
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